コラム
2021年02月05日

相続とは・・・デリケートなものである【BAMC税理士 中島 龍】

“相続というのは非常にデリケートである”

私の相続における第一声です。相続は、法人の決算や個人の確定申告と違い毎年発生するものでなく、被相続人が亡くなってはじめて発生するもので、相続人にとっては一生に何度も経験することではないからです。

私がはじめて税理士に出会ったのは祖母の相続の時でした。当時、大学生であった私はすでに税理士を志望していたので、税理士の発する一言一言にしっかりと耳を傾けました。
その税理士の言葉の中で、「相続においては円満に終わるものがほとんどなく、非常に慎重に行わなければいけない業務」と話していた言葉が今でも記憶に残っています。晴れて税理士資格を取得し、税理士業界に入り、相続という現場に携わる機会を得ることが多くなった今、当時の税理士が言っていた言葉を痛感させられることが多々あります。
相続というものは、 私の経験上同じケースはほとんどなく、どう円満に相続税申告まで終えるかという一大プロジェクトであると考えています。

私が経験した事例をご紹介しましょう。

相続人が姉と弟。私は弟側から依頼されました。弟は異母兄弟のため姉から気に入らないと妬まれ、姉側は別の税理士に依頼し、相続税申告書をほかの税理士と共同で作成したケース・・・

相続人が兄、妹、弟。兄と弟の仲が非常に悪く、分割協議の際、弟が弁護士に依頼するまでに発展。何とか遺産分割、相続税申告まで終えられたケース・・・

相続人が兄、妹3人。同居していた兄が親より先に亡くなってしまったことから兄嫁を養子縁組。この養子縁組により兄嫁+子VS妹3人という対立構図がなりたち、自分も相続人になってしまったのかと錯覚するぐらい相続対策の相談に深く(3年以上)入り込んでしまったケース・・・

争続(そうぞく)の体験は数えたら切りがありません。
こういった複雑化する家族関係から、相続に関わる業務は慎重に行わなければならないのです。
相続税の申告作業は手間と時間がかかり、精神的にも負担が大きい業務です。そんな仕事に私自身は非常にやりがいを感じています。
相続は入り口での対応は大変なものです。終わってみれば法定申告期限までに遺産分割が完了し、当初に比べれば円満に終えることも出来ています。
遺産分割だけでなく、相続税の節税や納税対策などすべてにおいて円滑に進めらると、普段扱っている法人や個人の確定申告では味わえないような満足感や充実感を得られるのです。私にとって相続の知識もさることながら、経験も非常に大きな財産となっています。

この財産が「ぎんざ相続プラザ」を通じて相続にお悩みの皆様のお役に立てれば幸いです。